耐震補強リフォームで木造住宅の地震対策|耐震改修の手順と種類、補助金制度の徹底ガイド
最近、大きな地震のニュースをよく耳にするため、住まいの耐震性を気にされる方や、耐震補強工事を希望される方が増えています。
特に、築年数の経った実家に住み継ぐ予定がある方や、築古物件を安く購入してリフォーム・リノベーションする場合、これから起こりうる地震に備えた安全対策が欠かせませんよね。
そこで今回は、木造住宅の耐震補強をお考えの方向けに、地震に強い家づくりの基本や耐震改修の流れ、工事の種類などを分かりやすく解説していきます。
木造住宅の耐震補強にかかる費用の目安や、京都の補助金制度についても取り上げますので、参考になれば幸いです。
この記事のポイント
- ・地震に強い木造住宅を保つためには、築年数や建物の状態に合わせた耐震補強が大切です。
- ・耐震補強リフォームは、現地調査に基づく計画・設計にはじまり、耐震診断に応じた工事内容や予算が決まります。
- ・補助金制度を利用することで、耐震補強にかかる費用が抑えられ、快適なリフォーム・リノベーションが実現しやすくなります。
京都市で中古一戸建てのリノベーションは三都の森にお任せください
耐震補強の必要性と工事までの流れ
築年数の経った木造住宅で、建物の耐震性が気になる方は多いのではないでしょうか。
震度6~7を超える過去の大地震や連日の警戒報道など、住まいの耐震性や暮らしの安全対策を見直す機会も増えています。
- ・1995年 阪神淡路大震災 震度6
- ・2000年 鳥取県西部地震 震度6強
- ・2008年 岩手宮城内陸地震 震度6強
- ・2011年 東日本大震災 震度7
- ・2016年 熊本地震 震度7
- ・2024年 能登半島地震 震度7
「日ごろの対策」が重要であるように、マイホームにおいてもリフォーム・リノベーションのタイミングで住まいの耐震性向上をはかるのがおすすめです。
住み慣れた実家や購入した中古物件を、これからも安全に住まえる家にするためには、部分的な補強ではなく、建物の構造や地盤に合わせたバランスのいい地震対策が必要になります。
どんな木造住宅に耐震補強が必要?
耐震補強が必要な木造住宅は、主に築年数の古い1981年(昭和56年)以前に建てられた家かどうかが大きな判断基準となります。
1981年5月31日までに建築された建物は、震度5程度の地震の揺れに対して、倒壊・崩壊しないという「旧耐震基準」である可能性が高く、1978年の宮城県沖地震では大きな被害が見られました。
そのため1981年6月1日からは、震度6強~7程度の地震で家屋が倒壊・崩壊しないことを「新耐震基準」として適用、2000年6月1日以降の「2000年基準」ではさらに高い耐震基準を設けています。
一般社団法人日本建築防災協会では「誰でもできるわが家の耐震診断」にて、お住まいに必要な耐震補強の説明や工事の種類などがチェックできます。
>関連コラム:昭和56年以前の建物をリフォームするべき『1つの理由』対処法についても解説
耐震補強リフォームまでのステップ
マイホームの耐震性が心配な場合や、リフォーム・リノベーションと合わせて耐震補強をお考えの際は、はじめに、地震発生時に建物が揺れに耐えられる強度などを調べます。
以下で、大まかな耐震改修までの流れを見てみましょう。
①現地調査と耐震診断
木造住宅で耐震補強の必要性を調べる場合、まずは「現地調査」「耐震診断」からスタートです。
この段階で、専門家がお住まいの構造や地盤の状態を詳しく調査し、耐震性の問題点を特定。
主に現地調査では、建物の表面化している部分をチェックし、耐震診断では、筋交いの太さや補強金物の種類など、目視や器具を用いて調べます。
現地調査で得た情報や建築図面をもとに、耐震性能を以下のように数値化していきます。
【木造住宅の耐震性能の評点】
- ・1.5以上:倒壊しない
- ・1.0以上~1.5未満:一応倒壊しない
- ・0.7以上~1.0未満:倒壊の可能性がある
- ・0.7未満:倒壊の可能性が高い
参考:一般社団法人日本建築防災協会|耐震改修ってどのくらいかかるの?耐震改修工事費の目安「耐震診断から耐震改修工事までの流れ」
②耐震改修計画の作成と設計
次に、診断結果に基づいた耐震改修計画・設計案を作成。
筋交い部分に補強が必要なケースでは、天井や壁、床の解体につながる場合があり、大掛かりな工事になる可能性が高まります。
計画・設計段階では、耐震改修の手順や工期、写真や平面図を使った補強位置などの具体的な説明を受けましょう。
③見積り取得・契約
耐震改修計画や設計プランが決まれば、実際の工事にかかる費用を算出します。
見積りを取得し内容確認後、納得できれば正式に契約に進みます。
④仮住まいの準備
耐震改修の規模や範囲によりますが、工事期間中には、仮住まいが必要になる場合もあります。
スムーズに引越しができるよう、事前に業者選びや手続きの準備をしておきましょう。
木造住宅の耐震性を高める補強工事の種類
次に、木造住宅の耐震補強で代表的な工事内容を紹介します。
「基礎」の耐震補強
木造住宅の基礎を強くするための工事では、「既存基礎」に「増し打ち基礎」を施すのが一般的です。
基礎が弱いと地震が発生した際、建物全体の揺れが大きくなり倒壊のリスクも高まります。
そのため、既存基礎に鉄筋が入っていない場合は、鉄筋プレートで補強したり、亀裂がある部分は、樹脂・繊維で修繕したり、劣化の進み具合によっては基礎をつくり直すこともあります。
特に、築年数の古い住宅では土台となる基礎の強度を高めることが、住まいの安全性確保に欠かせません。
「壁」の耐震補強
木造住宅の壁の耐震補強では、地震による揺れを効果的に吸収する「筋交い」や「構造用合板」を設置する工事が一般的です。
壁内部の筋交いを固定金物で強化したり、構造用合板を接合金物やくぎで補強したりすることにより、住まいの倒壊リスクを大幅に抑えられます。
壁の補強工事は、外観を変えずに進められるため、耐震性を向上させながらデザイン性にもこだわれるのがポイントです。
「屋根」の軽量化
屋根の軽量化は、耐震補強ではありませんが、建物の倒壊リスクを下げ、耐震性向上につながるポイントです。
重い屋根は、振り子の原理によって地震の揺れを増幅させてしまうため、軽量な素材選びで建物自体の重さを抑えることが大切です。
「接合部」の補強工事
接合部とは、柱と土台、柱と筋交い、柱と梁など、構造のつながりを指す部分で、これらが強固に連結されていることが、地震に強い家づくりのポイントです。
そのため耐震改修では、土台と柱、筋交いを固定する「筋交いプレート」や、土台と柱、梁を接合する「ホールダウン金物」を用いて、木造住宅の耐震性を高めます。
接合部の状態によっては、劣化した木材や金物の交換、補強も検討されます。
腐食やシロアリ被害の確認と対応
木造住宅では、長年の使用による木材の腐食やシロアリによる被害が確認されることもあります。
腐食や被害が進むと、建物全体の耐久性が低下し、地震に対する抵抗力も弱まります。
現地調査や耐震診断の際には、信頼できる専門家に調査を依頼し、必要に応じた木材交換や修繕、防腐処理を行いましょう。
>関連コラム:築40年中古住宅の価値を最大化|中古リノベーションで後悔しないための5つのポイント
▶リノベーションPROへお気軽にお問い合わせください ♪
木造住宅の耐震補強工事の相場と補助金
最後に、木造住宅の耐震補強にかかる費用の相場と補助金制度についても押さえておきましょう。
耐震補強工事の費用相場
耐震改修の費用は、建物の築年数や状態、必要な補強個所によって大幅に異なりますが、一般的な木造住宅の平屋で100~150万円、二階建てでは100~200万円で行われることが多いようです。
基礎の補強や耐力壁の設置など、大規模な工事が必要な場合は、さらにコストがかかることも考えられます。
延べ床面積別に見た場合、耐震改修工事費の目安は、以下のようになります。
【木造住宅「平屋」】
建物の延べ面積 | 50㎡ | 75㎡ | 100㎡ | 125㎡ | 150㎡ | 175㎡ | 200㎡ | 225㎡ | 250㎡ |
耐震改修費用の目安 | 110万円 | 140万円 | 160万円 | 180万円 | 200万円 | 220万円 | 240万円 | 250万円 | 270万円 |
【木造住宅「二階建て」】
建物の延べ面積 | 75㎡ | 100㎡ | 125㎡ | 150㎡ | 175㎡ | 200㎡ | 225㎡ | 250㎡ | 300㎡ |
耐震改修費用の目安 | 150万円 | 180万円 | 200万円 | 230万円 | 250万円 | 270万円 | 280万円 | 300万円 | 340万円 |
参考:一般社団法人日本建築防災協会|耐震改修ってどのくらいかかるの?耐震改修工事費の目安「延べ面積に応じた耐震改修工事費の傾向を知ろう」
なお、耐震補強と同時に、間取り変更や内装リフォーム・リノベーションの計画がある場合は、その他設計・改修などにかかる費用が別途必要になります。
耐震改修に使える補助金制度
京都府では、木造住宅の耐震改修にかかる費用の一部を補助しています。
対象となる木造住宅の条件は以下の通りです。
- ・1981年(昭和56年)5月31日以前に着工した建物であること
- ・30戸/ha以上の密集市街地内または市町村が耐震化を進めると定めた地域内であること
- ・延べ面積の1/2以上を住宅として使用していること
「耐震診断」により、評点1.0未満の住宅を改修により1.0以上に向上させるための事業で、工事にかかる費用の4/5(最高100万円もしくは120万円まで拡充)が補助されます。
令和6年度~7年度に限っては、改修後の評点を1.0以上に向上させる耐震補強に対して、補助額が最高125万円~150万円まで拡充される可能性もあります。
詳しい金額や要件に関する疑問は、各市町村の窓口で確認するのがおすすめです。
>関連コラム:2024年のリノベーション補助金・減税制度を分かりやすく解説|対象リフォームの期限から申請手続きまで
>関連コラム:中古住宅の購入&リノベーションに必要な費用は?|築年数別相場と補助金の活用方法
まとめ|耐震補強リフォームで地震に強い木造住宅を実現
耐震補強は、実家に住み継ぐ方や中古物件のリフォーム・リノベーションをお考えの方が、長く安全に暮らすために欠かせない、重要な地震対策です。
無理のない耐震改修プランや資金計画を立てるためには、各自治体が提供している補助金制度を利用するのもおすすめです。
木造住宅の優れた快適性や耐久性を活かして、ぜひ地震に強い住まいを実現させましょう。
▶リノベーションPROへお気軽にお問い合わせください ♪
京都市で中古一戸建てのリノベーションは三都の森にお任せください
三都の森は、京都市全域と宇治市、大山崎町、亀岡市、木津川市、京田辺市、久御山町、城陽市、精華町、長岡京市、向日市、八幡市、及び大阪府・滋賀県の一部を施工エリアとして、一戸建てのフルリノベーションを手がける会社です。
三都の森のリフォームは、見えるところだけではなく、見えないところにまで手を入れて、住まいの性能を最大限引き出すスケルトンリフォーム(リノベーション)です。
「低燃費・快適住宅・ローメンテ」というコンセプトに基づき、高い技術力を持って、お客様の住まいに合わせた最適なリフォーム・リノベーションを行います。
過去を繕うだけのリフォームではなく、「本当に価値ある」未来を作るリノベーションを追求・実現しています。