増築リノベーションに必要な「確認申請」と費用相場|戸建て増築で知っておくべき注意ポイント
増築する場合、一般的に新築や大規模改修・修繕と同様に「確認申請」が必要になります。
今回は、「確認申請」が必要な増築の範囲や戸建てリノベーションにおける注意ポイント、増築エリア別の費用相場について解説していきます。
建築確認が重要な理由や、申請が不要なケースにも触れますので、ライフステージに合わせた家づくりで、増築リノベーションをお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
この記事のポイント
- ・新築や増築を含む大規模リフォーム・リノベーションに必要な「建築確認申請」は、違法建築を防ぐための法律に基づく手続きです。
- ・増築する場合、特定の立地や増築面積、構造によって「建築確認申請」が必要・不要かが決まります。
- ・増築リノベーションをお考えの際は、既存住宅が既存不適合建築物でないことや、増築の際の建ぺい率・容積率オーバーなどに注意しましょう。
まとめ|「確認申請」の注意ポイントを押さえた快適な増築リノベーション
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建築確認申請とは
確認申請は、法や条例に従って建築物が建てられているかを、建築主事(建築物の審査確認・検査などを担当する公務員)や指定確認検査機関が確認する手続きです。
多くの場合、増築を依頼する建築会社が申請を進めますが、申請者はお施主様ですので、プランが決まれば、確認済証を増築リフォーム・リノベーション開始前に発行してもらう必要があります。
新築や大規模改修・修繕に必要な手続き
建築確認申請は、学校やビル、マンション、一戸建ての新築や大規模改修・修繕の際に必要な手続きです。
具体的には、建物の設計図や構造計算書を提出し、建築基準法に適合しているかどうかを確認します。
工事開始前に申込みするため、建売住宅や分譲マンション、中古販売の場合はすでに確認申請が済んでいる場合がほとんどです。
違法建築を防ぐためのプロセス
建築確認申請は、法律や条例に適合しない違法建築を防ぐための手続きであるため、市や町の建築指導課、または民間の審査機関による適切な検査が必要です。
建築基準法や都市計画法に適合する建築物かどうかを調べ、将来の安全性や快適な住環境の保持、また法的な問題が起こる可能性を未然に防ぐのに大切なプロセスとなります。
2025年施行予定の建築基準法改正による影響が出てくるケースもあるため、申請は専門的な知識を持つ建築会社やリフォーム・リノベーション会社に代行してもらうのが一般的です。
参考:国土交通省|建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し
>関連コラム:【2025年施行】建築基準法改正の完全ガイド|家づくりにどんなメリット・デメリットがあるのか?
確認申請に必要な費用
確認申請では、以下のような3つの手続きに応じて手数料が発生します。
【京都府の例】(構造計算を行わないもの)
- ・「確認申請」:工事前の手続きで、30㎡以内で15,000円、30㎡超え~100㎡以内で35,000円
- ・「中間検査」:工事中の検査に、30㎡以内で20,000円、30㎡超え~100㎡以内で45,000円
- ・「完了検査」:工事後の検査に、30㎡以内で20,000円、30㎡超え~100㎡以内で45,000円
参考:京都府|確認審査及び検査手数料(令和3年7月1日改定)か【非課税】
なお、確認申請を建築会社やリフォーム・リノベーション会社に依頼する場合は、建築士によって異なりますが、代行手数料として別途15~30万円程度かかります。
そのため、見積りを受ける際には、上記「確認申請」の手数料に加え、代行手数料が含まれているかどうかを確認しておきましょう。
>関連コラム:リノベーションで固定資産税はどう変わる?上がる・下がる・変わらないケースを徹底解説
建築確認申請が必要な増築
それでは具体的に、確認申請が必要な増築リフォーム・リノベーションについて解説していきましょう。
建築確認申請が必要な立地と増築面積の条件
建築確認申請は、立地や建物の条件によって不要なケースもあります。
例えば、木造2階建てで、外壁・屋根・内装の張り替えやキッチン・トイレ・バスの設備交換、間取り変更など、増築を伴わないリフォームの場合です。
しかし、都市計画区域内では、以下のような建物で確認申請が必要になります。
新築または増築・改築部の面積の合計が10㎡を超える建物
*防火・準防火地域の場合は、増築面積に関わらず申請が必要
また、都市計画区域外では、以下のような建物に対して確認申請が必要です。
- ・床面積100㎡超えの学校・病院・工場・倉庫・店舗・車庫など
- ・「木造3階建て以上」または延べ床面積500㎡超えの建物、あるいは高さ13m超または軒高9m超の建物
- ・「木造以外の2階建て以上」または延べ床面積200㎡以上の建物
- ・一定規模以上の工作物や昇降機
他にも、各自治体で定められた条例によっては、申請が必要になるケースもあるため、事前に市町村の建築指導課や審査機関に確認することをおすすめします。
「木造3階建て以上」や「木造以外の2階建て以上」の改修・修繕
木造3階建て以上や、鉄骨造などの木造以外の2階建て以上の建物を改修・修繕する場合、増築がなくても、建築確認申請が必要になるケースがあります。
建築確認申請は、主要な構造物である壁・柱・梁・屋根・床・階段の半分以上の修繕・模様替えがある場合に必要です。
一方で、減築の場合は用途変更がない限り、建築確認申請は一般的に不要となります。
カーポートや物置を増築するケース
カーポートや物置も、規模や立地によって増築が認められる場合には、建築確認申請が必要になるケースがあります。
防火・準防火地域外で、カーポートや物置を設置する場合、面積が10㎡以下であれば建築確認申請は不要ですが、防火・準防火地域では申請が必要です。
・カーポート:柱と屋根で構成される建物として、建築基準法上、住宅の建築面積に含まれる(例外を除く)
→車1台分で、横幅約2.4m×奥行き約5m=約12㎡が一般的であるため、10㎡を超える建物にあたる。
・物置:人が入って作業できる広さの物置は、建築物に該当する(外から荷物の出し入れができるタイプの物置は該当しない)
→土地に固定された「基礎」がある状態で、柱・屋根・壁を有するものは建築物にあたるため、床面積に含まれる。
増築予定地の建ぺい率・容積率によっては、上記のような車庫やカーポート、物置が床面積に含まれるため、居住スペース拡大との兼ね合いに注意しましょう。
住宅の増築によっては、これらの撤去や縮小が必要になるケースもあります。
>関連コラム:2階建てを減築して平屋にできる?|減築リノベの魅力と注意ポイントを解説
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戸建て増築で押さえておきたい注意ポイント
増築リフォーム・リノベーションをお考えの際には、建築確認申請ができる会社に相談することが大切です。
確認申請が必要な新築や増築・改築における手続きがない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる可能性があるため、以下のような注意ポイントも押さえておきましょう。
既存不適合建築物でないかの確認
増築リノベーションを計画する前には、まず既存住宅が既存不適合建築物でないことを確認することが大切です。
また、新築時の状況として「確認済証」「確認申請図書」「検査済証」の有無を確認するのもおすすめです。
これらの書類がそろわない場合は、「法適合状況調査」を受けることで、法令遵守や現行基準の適合が証明できれば、増築の建築確認申請を受けることが可能になります。
建ぺい率・容積率オーバーに注意
日本では、住宅を含む建築物は、都市計画法と建築基準法に従って設計・建築が進められます。
また都市計画法で区分されている「用途地域」には、その地域で建築可能な建物の条件が示されており、建ぺい率・容積率の上限も定められています。
- ・建ぺい率=建築面積(建物の外壁に囲まれた部分の面積)÷敷地面積
- ・容積率=延べ床面積(建物各階の床面積の合計)÷敷地面積
増築リノベーションの場合で、確認申請が不要な「10㎡以下」の増改築であっても、地域の建ぺい率・容積率に合わせた設計が必要です。
テラスやバルコニーが増築扱いになる場合
「カーポートや物置を増築するケース」の解説でも触れましたが、テラスやバルコニーの増設時にも同様の注意が必要です。
特に、屋根付きのテラスやバルコニーは建築面積に含まれるため、建ぺい率や容積率に影響が出る、増築として扱われる可能性があります。
建築基準法施行令(第2条)では、建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線に囲まれた部分から、1m以上突き出した屋外空間(屁や屋根がある)は、建築面積に算入されるということです。
そのため、専門的な知識を持つリフォーム・リノベーション会社によく相談しながら、プランニングを進めるのがおすすめです。
既存住宅の耐震性や雨漏りリスクへの対策
既存住宅の耐震性や気密性が不十分であれば、増築による建物への負荷が問題になるケースがあります。
対策としては、耐震診断を受けて適切な耐震補強を施した上で、無理のない増築を検討しましょう。
また、既存住宅の接合部からの雨漏りや劣化、老朽化を防ぐためのコーキング処理などで、長期的な住まいの安全性を確保しておくことが大切です。
「建物表題部変更登記」や「火災保険の内容変更」を忘れずに
増築後の注意ポイントとして「建物表題部変更登記」による増築登録や「火災保険の内容変更」が必要です。
増築申告のない状態で、事故や災害が発生した場合、「通知義務違反」として補償が受けられないリスクがあります。
増築が完了した後には、国(法務局)への登記内容変更の申告や、各種保険内容の変更手続きを忘れずに済ませましょう。
>関連コラム:築30年の一戸建てリフォームで何年住めるようになる?|建て替えとの比較も解説
増築エリア別の費用相場
最後に、増築エリアごとの費用目安について紹介します。
平屋の居室増築費用
平屋の居室を増築する場合の費用相場は、設計費用や確認申請費用、工事費用を含めて、坪単価70万円前後が相場です。
4~6畳の居室増築で、約140~210万円かかるのが目安となります。
断熱性や耐震性を高めるための追加工事やコンセントの新設などによる、価格の変動も考えられるため、事前に詳細な見積りを依頼しておくことが大切です。
2階建ての居室増築費用
2階建ての居室を増築する場合、費用はさらに高くなります。
一般的な相場では、坪単価120万円前後の4~6畳で、約240~360万円かかる計算です。
平屋よりも構造補強工事が必要になる可能性や、平屋同様に窓・外壁・内装などの仕様変更による価格変動が見込まれます。
水回りエリアの増築費用
水回りエリアの増築には、坪単価80万円前後を相場とした、6畳240万円前後の費用がかかります。
水道配管や排水設備、電気配線などのインフラ工事が必要なため、費用が高くなる傾向にあります。
また、各設備機器本体の費用が別途かかる点にも注意が必要です。
テラス・バルコニーの増築費用
テラスやバルコニーを増築で設ける場合、以下のような価格が目安となります。
- ・テラス(1階):坪単価30~50万円前後
- ・バルコニー(2階):坪単価50~150万円前後
加えて、掃き出し窓の設置に別途費用がかかります。
また、バルコニー(2階)の場合は、柱の設置工事が必要になるため、テラス(1階)よりも価格が上がる傾向です。
>関連コラム:中古住宅の購入&リノベーションに必要な費用は?|築年数別相場と補助金の活用方法
まとめ|「確認申請」の注意点を押さえた快適な増築リノベーション
増築リノベーションを成功させるためには、法的手続きをしっかり行い、工事後の安全性や快適性を考えた細やかなプランニングが大切です。
また、確認申請は依頼する建築会社やリフォーム・リノベーション会社が代行するケースがほとんどですが、あくまで申請者はお施主様ですので、内容をよく把握しておくことが理想的です。
ぜひ、家づくりにおける専門知識を持つプロに相談しながら、快適な住まいを実現させましょう。
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