中古住宅の住宅ローン控除とリフォーム減税|2024年の変更ポイントと注意点

2024年、中古住宅の住宅ローン控除の変更ポイント

 

2022年度の税制改正により大きく制度変更された「住宅ローン控除」は、一定の条件を満たすことで、中古住宅の取得にも適用されます。

 

さらに2024年度の一部改正では、築年数要件の緩和などがあり、従来よりも減税が受けやすくなっています。

 

今回は、中古物件の購入およびリノベーションをお考えの方に向けて、中古住宅の住宅ローン控除の基礎知識や改正ポイント、リフォーム減税・固定資産税軽減措置との併用に関する最新情報をお伝えします。

 

この記事のポイント

  • ・中古住宅の住宅ローン控除の要件は、2024年度の税制改正により築年数要件の緩和など一部変更されています。
  • ・新築・再販と中古では控除対象や要件などが異なるため注意が必要です。
  • ・リフォーム減税や固定資産税軽減措置は、住宅ローン利用時の活用は可能ですが、住宅ローン減税との併用はできません。

 

 


中古住宅の住宅ローン控除とは

中古住宅の築年数などは要件が緩和される

中古住宅を購入する際の注意点

リフォーム減税や固定資産税軽減措置との併用

まとめ|2024年からの中古住宅の住宅ローン控除

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中古住宅の住宅ローン控除とは

中古住宅の住宅ローン控除の基礎知識

▷京都市左京区|リノベーション|S様邸

 

住宅ローンを組んで家を購入する際、一定の条件を満たせば所得税の一部が減税される「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」。

 

住宅ローンの年末残高の合計額等から割り出す金額を所得税額から控除する制度で、所得税から減税しきれない場合は住民税からの控除となります。

 

「中古住宅にも適用されるのか」と疑問に思われる方もおられますが、居住目的の「住宅」であれば、戸建てやマンション、新築や中古を問わず住宅ローン控除の対象です。

 

また住宅ローンを利用して大規模なリフォーム・リノベーション(増改築等)をする場合も控除を受けられる可能性があります。

参考:国税庁|増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)

 

控除期間と控除率

 

2022年までは、新築あるいは中古に関わらず、住宅ローン控除の期間は10年間・控除率は住宅ローン年末残高の1%でした。

 

2024年度現在の住宅ローン控除期間と控除率は以下の通りです。

 

  • ・控除期間: 新築・再販で13年間、中古住宅・増改築等で10年間
  • ・控除率: 新築・中古で一律0.7%

 

控除対象住宅とは

 

2024年度の税制改正では、新築・再販の場合「長期優良住宅・低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」のみが住宅ローン減税の対象となっています。

 

一方、中古・増改築の場合は全ての住宅が対象で、借入限度額が「省エネ住宅」で3,000万円・「その他の住宅」で2,000万円です。

 

令和6年度税制改正後の「住宅ローン減税」の概要

画像引用:国土交通省|住宅ローン減税

 

いずれも合計所得が2,000万円以下・床面積が50㎡以上であることが条件ですが、所得が1,000万円以下の場合は40㎡以上に緩和されます。

 

住宅ローン控除を受けるためには、他にも以下のような要件を満たす必要があります。

 

  • ・個人が居住用として購入した住宅
  • ・住宅ローンを利用した住宅購入
  • ・住宅ローンの返済期間は10年以上
  • ・引渡しまたは工事完了から6か月以内に居住(控除を受ける年の12月31日までに入居)
  • 中古の場合、1982年(昭和57年)以降に建築または現行の耐震基準に適合する住宅

 

>関連コラム:中古住宅の購入&リノベーションに必要な費用は?|築年数別相場と補助金の活用方法

 

中古住宅の築年数などは要件が緩和される

2024年の中古住宅の住宅ローン控除の変更点と注意ポイント

▷京都市左京区|リノベーション|Y様邸

 

2024年の税制改正により、新築住宅では全ての省エネ住宅区分で「借入限度額」が500万円~1,000万円引き下げられ、その他住宅に関しては控除対象外となりました。

 

その一方で、中古住宅は税制改正前の「耐火住宅は築25年以内・非耐火住宅は築20年以内」という要件が撤廃され、新たに築年数の緩和につながる「新耐震基準」の適合に変更されています。

 

中古住宅の場合、1982年1月1日以降に建築された物件であること、あるいは「新耐震基準(1981年以降の耐震基準)」に適合した物件であることが要件です。

 

つまり、1981年以前に建築された住宅でも、耐震診断により新耐震基準並みの耐震性が認められる場合には、住宅ローン控除が受けられます。

 

申請の際には、対象中古住宅の耐震性を証明する書類を用意しておきましょう。

 

  • ・「耐震基準適合証明書」
  • ・耐震等級1以上の「既存住宅性能評価書」
  • ・既存住宅瑕疵保険加入後の「既存住宅売買瑕疵保険付き証明書」

 

>リノベーションPROの「施工事例」

 

>関連コラム:昭和56年以前の建物をリフォームするべき『1つの理由』対処法についても解説

 

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中古住宅を購入する際の注意点

賢く中古住宅を選ぶポイントと住宅ローン控除の活用

▷京都市左京区|リノベーション|F様邸

 

次に、住宅ローン控除を利用して、中古住宅を購入する際の注意ポイントを解説します。

省エネ基準を満たす住宅購入

 

中古住宅では、新築建設による環境負荷が抑えられるため、2025年までの入居であれば、借入限度額の引き下げがありません。

 

また省エネ住宅以外の物件であっても住宅ローン控除が受けられます。

 

ただし中古住宅探しの際には、省エネ基準を満たす住宅の借入限度額の方が、その他の住宅よりも1,000万円控除が高くなるポイントも押さえておきましょう。

 

【中古住宅の借入限度額】

  • ・「長期優良住宅・低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」: 3,000万円
  • ・その他の住宅: 2,000万円

 

住宅ローン控除手続きの流れ

 

住宅ローン減税を受ける場合、初年度と2年目以降で手続きが異なります。

 

まず、初年度の手続きとして、入居した翌年の2月16日〜3月15日の確定申告で、還付を受けるための申告をします。

 

【初年度の確定申告に必要な書類】

  • ・確定申告書
  • ・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
  • ・住宅の登記事項証明書
  • ・売買契約書、建築請負契約書の写し
  • ・耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し
  • ・源泉徴収票
  • ・本人確認書類
  • ・入居時期に関する申告書兼証明書

 

なお、2年目以降は給与所得者は年末調整にて申告、給与所得者以外は2年目以降も確定申告が必要になります。

 

【給与所得者の年末調整に必要な書類】

  • ・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
  • ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

 

【給与所得者以外の確定申告に必要な書類】

  • ・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

>関連コラム:【2024年版】省エネリフォームの方法・施工事例と補助金・減税制度について

 

リフォーム減税や固定資産税軽減措置との併用

リフォーム減税と固定資産税軽減措置との併用は可能?

▷京都市左京区|リノベーション|K様邸

 

最後に、住宅ローン控除とリフォーム減税や固定資産税軽減措置との併用について解説します。

リフォーム減税との併用

 

中古住宅を購入してリノベーションする場合、住宅ローンの有無に関わらず、リフォーム減税を利用した所得税の控除が受けられます。

 

2024年度の税制改正により、リフォーム減税も2025年12月31日まで延長され、内容も拡充されています。

 

ただし、リフォーム減税と住宅ローン控除との併用はできません

 

中古住宅を購入してリノベーションする場合は「住宅ローン控除」を、持ち家をリフォームする場合は「リフォーム減税」を選ぶのがいいかもしれません。

固定資産税軽減措置との併用

 

耐震・省エネ・バリアフリーなどの対象リフォームで、翌年の固定資産税が減額される「固定資産税の軽減措置」も、2025年12月31日までの延長が決まりました。

 

減額割合は、対象工事の種類によって以下のようになっています。

 

  • ・耐震: 1/2を減額
  • ・省エネ: 1/3を減額
  • ・バリアフリー: 1/3を減額
  • ・長期優良住宅化: 2/3を減額

 

固定資産税軽減措置も住宅ローン控除との併用はできませんが、リフォーム減税との併用が可能な場合があります。

 

ただし、工事内容によっては同時に利用できないケースもあるため、あらかじめ施工会社に確認しておきましょう。

>関連コラム:古い家に効果的な断熱リフォーム|対策工事と補助金活用のポイント

 

まとめ|2024年は中古住宅の住宅ローン控除で賢くリノベーション

2024年の住宅ローン控除の活用で中古住宅を賢くリノベーション

▷京都市左京区|リノベーション|Y様邸

 

「住宅ローン控除」制度の改正は、2025年4月以降「原則として全ての建築物の省エネ基準適合義務化」に向けた取り組みです。

 

現行の制度は、2025年までの入居が適用条件となっており、現時点では2026年度以降の期限引き延ばしの有無は公開されていません。

 

そのため、現段階でマイホームを検討される場合は、早めの情報収集や専門家との打ち合わせがおすすめです。

 

ぜひ減税効果を最大限に活用し、理想の住まいを納得価格で実現させましょう。

 

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