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コラム

耐震補強は“意味がない”って本当?10の理由と耐震リノベーションを後悔しないためのポイント

耐震補強は“意味がない”って本当?10の理由と耐震リノベーションを後悔しないためのポイント

「耐震補強をしても意味がない」「古い家なら建て替えた方がいい」という話を聞き、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

確かに、建物の状態を調査せず部分的に耐震リノベーションをしても、期待した効果を得られないことがあります。

しかし、それは「耐震補強そのものに意味がない」ということにはなりません。

重要なのは、建物の現状を正しく把握し、それにあった工事プランを立てることです。

場合によっては、リノベーションより建て替えた方が良い場合もあります。

そこで本記事では、「耐震補強は意味がない」と言われる理由を整理し、耐震補強をするかどうかの判断ポイントや後悔しないために知っておくべき注意点について、京都で住宅改修・新築を手がける『RENOVATION PRO』がわかりやすく解説します。

耐震補強の費用目安や工事までの手順、関連する補助金・税制優遇制度など、多くの方が気になる「よくある質問」も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること

  • 耐震補強は“意味がない”と言われる理由には、一般の方の誤解や建築会社の説明不足や技術的な制約が関係しており、2000年5月以前に建築確認を受けた住宅は、現在の耐震基準と異なる基準で建てられているため、耐震診断によって現在の耐震性能を確認することが重要です。
  • 「耐震補強をするかどうか」「建て替えの方が良いか」の判断は、築年数や構造体の劣化状況、地盤の種類、間取りによって異なるため、地震の不安がある方は、まず建築会社に建物調査(耐震診断)を依頼しましょう。
  • 耐震補強にかかる平均費用は「100万円台〜200万円台」とされていますが、実際は劣化部分の補修や断熱改修などと併せてフルリノベーションするケースも少なくありません。

Contents

耐震補強は“意味がない”と言われる10の理由

耐震補強は“意味がない”と言われる理由

耐震補強(耐震リノベーション)とは、既存住宅の構造部に筋交や接合金物などを追加し、地震や台風への抵抗力と建物強度を高める改修を指します。

令和8年熊本地震では、住宅を含む建築物などに被害が発生しており、現在も被害状況の確認が進められています。

また、南海トラフ地震や首都直下地震の発生リスクから、日本全体で既存建物の耐震補強に注目が集まっているのが実情です。

▶︎南海トラフ地震については「南海トラフ地震で生き残るための地域の選び方|京都で大震災に備える安全性の高い家づくり」でも紹介していますので、併せてご覧ください。

しかし、耐震補強についてGoogleなどで調べると「意味がない」というキーワードが出てきます。

耐震補強が“意味がない”と言われる主な理由は、以下の通りです。

耐震補強の目的が誤解されている(期待値とのギャップ)

耐震補強と聞くと、「地震の揺れをなくす」「建物が揺れなくなる」と誤解されがちですが、耐震補強の目的は「地震による建物の倒壊・損傷リスクを低減し、人命を守る」ことであり、小さな被害も含めて全く無傷というわけにはいきません。

そのため、大地震の後に家の一部が損傷しているのを見ると、「耐震補強は意味がないのでは」と思ってしまう人が一定数いるのが実情です。

大地震が来るまで効果を実感できない

耐震補強をすると、小さな地震ではその効果を実感できないため、「工事したのは無駄だったのでは」と思ってしまう可能性があります。

しかし、耐震補強は大地震に対する備えであり、工事しているのとしていない状態では、被害の規模が大きく異なるため、決して意味がないことではありません。

新耐震基準建物は補強しなくてよいと思われている

既存建物の耐震性能を判断する際、旧耐震基準・新耐震基準のどちらに当てはまるかがポイントにされますが、旧耐震基準と比べて新耐震基準は求められる耐震性能が高いため、「新耐震基準建物は耐震補強が必要ない」と思われがちです。

ただし、新耐震基準は現行の2000年基準とは異なるため、現在の基準と同等の性能が確保されているとは限りません。

旧耐震基準
  • 1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物
  • 当時の建築基準法で定める基準に則っており、「震度5強程度の地震で倒壊・崩壊しない」耐震性能が備わっている(震度6以上の地震に関する規定はない)
新耐震基準
  • 1981年6月1日以降2000年5月31日以前に建築確認を受けた建物
  • 「震度5強程度の地震力ではほとんど損傷せず、震度6強~7程度の地震力で倒壊・崩壊しない」耐震性能が備わっている

2000年基準

(現行基準)

  • 2000年6月1日以降に建築確認を受けた建物
  • 新耐震基準に加えて、地盤調査に基づく地盤の安全性確認、接合部の仕様、耐力壁の配置バランスなどに関する規定が強化された

旧耐震と新耐震

実際に、平成28年(2016年)熊本地震では、2000(平成12)年以降に建てられた住宅の倒壊割合が2.2%と、旧耐震基準住宅の28.2%と大きな差があることも明らかになりました。

熊本地震の住宅における被災状況

(引用:国土交通省|熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について|「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書について

現行の建築基準法に適合していれば補強しなくてよいと思われている

現行の建築基準法に適合している住宅は、地震による倒壊を防げる可能性が高いため、2000年6月1日以降に建てられた家なら、耐震補強は不要だと思う方も少なくありません。

しかし、近年の新築住宅は建築基準法で定める耐震性能以上のものが増えています。

ここでキーワードとなるのが、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく住宅性能表示制度で定める「耐震等級」です。

耐震等級1を建築基準法で求められる耐震性能と同等の水準とし、その上位等級である耐震等級2・3の認定制度が設けられています。

耐震等級1

現行の建築基準法(2000年基準)で定める耐震性能

耐震等級2

耐震等級1で想定する地震力の1.25倍に抵抗できる耐震性能

耐震等級3

耐震等級1で想定する地震力の1.5倍に抵抗できる耐震性能

耐震等級1・2・3の違い

(引用:国土交通省|長期優良住宅のページ|長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について

今後、南海トラフ地震や首都直下地震などへの備えとして、耐震等級2・3相当まで性能向上を検討するケースも多くご相談いただきます。

耐震リフォーム詐欺を疑う

警視庁・警察庁の公表データによると、2025年に発生した点検商法※による住宅リフォーム詐欺は2010年以降最多となり、建築会社の提案や耐震補強に対して不信感を持つ人がいます。

※点検商法:作業員が家庭訪問して点検をしたふりをしながら住民の不安をあおり、不必要な工事や商品を法外な値段で進める詐欺の一種

(出典:警視庁|点検商法警察庁|令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について

耐震補強は、内装のやりかえや水漏れ・雨漏れ、外装と異なり、どこまでの工事が必要かを一般の方が判断しづらく、工事前後の変化が表から見えにくいため、耐震補強を依頼する際には、施工実績や資格、耐震診断の方法などを確認することが重要です。

築年数の経つ住宅に住んでいる方は、正しい情報を身につけておきましょう。

災害対策や地震リスクを意識しない人がいる

熊本など一部の地域では定期的に大地震が発生していますが、その他の地域では大地震が起こるのは数十年に一度程度であるため、災害対策や地震のリスクをわかっていながらも先送りにしている人が多いのが実情です。

「うちは大丈夫」とポジティブに考えてしまっているケースも少なくありません。

しかし、政府による長期評価では、南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率は「60~90%程度以上」とされており、首都直下地震についても、今後30年以内に発生する確率が70%程度とも言われています。

(出典:国土交通省|南海トラフ巨大地震対策計画|南海トラフ巨大地震の被害想定(内閣府)政府広報オンライン|首都直下地震に備えよう!起こりうる被害、そして被害を抑えるためにできることは?

耐震補強を信用していない(大地震では被害を受けると思っている)

ブログやSNSを見ると、耐震補強を信用しておらず、大地震がくれば被害を受けると思っている人が多く見られます。

確かに、耐震等級3の建物も、大地震によって多少の被害が出る可能性はあり、建物の構造が丈夫でも、劣化していたり、地盤の状態が悪かったりすれば、損壊するリスクは否めません。

しかし、耐震補強をしていない状態と比べて、建物の損傷や倒壊のリスクを低減し、人命や財産を守れる可能性を高められます。

建築会社の説明が足りない(知識・技術力不足)

建築会社の中には、最新の知識や施工技術が不足しており、施主様に正しい説明ができず説得力が薄い会社があるのも現実です。

地震大国である日本では、建物の耐震技術は年々進化し、次々と新しい技術や建築材料が登場しており、それらを使いこなせるかどうかが耐震補強の効果を左右します。

部分的な補強だけでは効果が限定的

耐震補強にはいくつかの方法があり、建築会社の知識が足りないと、部分的な改修を提案される可能性があり、耐震性能向上の効果が限定的になってしまいます。

以下のような提案を受けた場合は耐震補強の効果が出にくい恐れがあるため、十分注意しましょう。

  • 建物の劣化状況を確認しないで工事プランを決める
  • 図面を見ただけの耐震診断で工事プランを決める
  • 詳細な耐震診断をせず、一部の壁だけ補強する
  • 詳細な耐震診断をせず、 屋根だけ改修する
  • 詳細な耐震診断をせず、構造体の接合部に何もしない
  • 劣化した部分はそのまま何もしない

古く劣化が進んだ住宅では効果に限界がある

旧耐震基準でさらにメンテナンス不足で構造体の腐朽やシロアリ被害、雨漏りなどによって劣化が進んでいる住宅は、リノベーションで耐震補強できる範囲が限られて効果が限定的になる場合があります。

耐震補強によって現状よりも耐震性能は上がるものの、耐震等級3などのレベルに達しないケースは少なくありません。

また、古い住宅を全体的に耐震補強するためには、新築ほどではないもののそれに近い金額がかかった事例もあります。

そのため、現状によってはリノベーションではなく建て替えを選択した方が良い可能性もあるので注意が必要です。

ポイント

耐震補強の目的は、「住宅が受ける地震被害をゼロにする」ことではなく、「建物の倒壊リスクを低減し、人命を守る」点にあります。

この本質を見誤ると「意味がない」と誤解してしまいやすいため、知識や施工実績の豊富な建築会社から正しいアドバイスを受けることが重要です。

▶︎関連コラム:耐震補強リフォームで木造住宅の地震対策|耐震改修の手順と種類、補助金制度の徹底ガイド

耐震補強(耐震リノベーション)にはどんな効果があるのか

耐震補強にはどんな効果があるのか

耐震補強は意味がないと思われることもありますが、リノベーションによって住宅にとって良い効果がいくつも生まれます。

地震による倒壊リスクの軽減

耐震補強をした住宅は、地震や台風による倒壊リスクを大幅に軽減できます。

平成28年(2016年)熊本地震では、最高グレードの耐震性能を持つ耐震等級3の住宅は、ほとんどが無被害で、一部の被災住宅も軽微な被害で済みました。

熊本地震の住宅における被災状況

(引用:国土交通省|熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について|「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書について

強い地震に抵抗できる住宅は、台風など横から受ける風の力にも抵抗しやすく、災害の多い日本でも、家族の命と財産を守れる確率が高くなります。

耐震等級3以外の住宅でも、一定の耐震補強によって地震への抵抗力を向上させることは可能です。

現状(劣化状況)を把握できる

耐震補強をする際には、事前に建物調査(耐震診断)を実施することが原則であるため、その際に、構造体の腐朽やシロアリ被害などの劣化状況を把握でき、適切な処置を施すことができます。

ただし、建築会社によって建物調査(耐震診断)で見る範囲が異なるため、会社選定の際には床下や天井裏などまでチェックするかどうか確認しましょう。

被害を受けても最小限の補修で住み続けられる確率が高くなる

高耐震の住宅は、万が一地震の被害を受けても損傷を最小限に抑えられるため、軽微な補修だけで元通りの生活を送れる可能性が高くなります。

軽微な補修とは、外壁や間仕切り壁のクラック補修や、家具などの転倒による内装材の補修、配管の接続ズレの補修などです。

被害の規模が全損・大半損・小半損と大きくなると、地震保険の補償金が出る可能性もあります。

地震ダメージの蓄積による倒壊を防げる

地震によって倒壊する建物の中には、大きな揺れが原因ではなく、これまで受けた地震で何度も繰り返し建物が揺れたことによるダメージの蓄積が原因の場合もあります。

このようなリスクを防ぐためには、耐震補強によって柱・梁・筋交の接合部を金物で強化したり、瓦屋根をスレート瓦や金属屋根などの軽量なタイプに変えて、地震発生時の慣性力※の影響を抑えたりする方法が有効です。

※慣性力:移動する方向と逆向きに引っ張られるように感じる力(例:電車が急ブレーキをかけると前のめりに倒れそうになる)

また、最近は既存住宅の耐震リノベーションで制振ダンパー※を取り付けて、地震エネルギーを吸収し、建物が受けるダメージを小さくする方法も採用されています。

※制振ダンパー:壁の内部に設置する装置で、オイルの抵抗力やゴムの粘性などにより、受けた地震力を吸収できる

住宅の寿命が延びる

耐震補強は、地震や台風などの外力に抵抗でき、さらに劣化の進行を見つけて補修できるため、住宅の寿命を延ばすことにもつながります。

長期優良住宅※の認定条件(増改築等の場合)には、耐震等級1(変形性能等の追加も必要)もしくは免震建物としての性能があることも含まれており、家の長寿命化に耐震性は欠かせない要素です。

※長期優良住宅:「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」を指し、認定を受けると補助金や減税の対象となるなどのメリットがある

▶︎関連コラム:長期優良住宅リフォームとは|認定は「いらない」「やめたほうがいい」は本当?メリット・デメリットと判断基準を徹底解説

木造戸建住宅における耐震リノベーションの流れ|調査から工事までのフロー

木造戸建住宅における耐震リノベーションの流れ|調査から工事までのフロー

木造戸建住宅の耐震リノベーションを検討している方は、計画の流れを把握しておきましょう。

建築会社に相談してから実際に工事するまでのフローは、以下の通りです。

主な手順 具体的な内容
①業者選定
  • 耐震リノベーションの実績がある会社を選ぶ
②現地打ち合わせ
  • 建築会社が現地を確認し、建物調査(耐震診断)の準備を行う
③建物調査(耐震診断)
  • 調査項目は会社によって異なる
  • 図面確認・間取りや外装の目視・地盤の確認・床下や小屋裏の点検など、既存部分を大きく解体しない調査が一般的
④プラン・見積もりの提示、補助金や税控除の対象要件確認
  • 建築会社が、建物調査(耐震診断)の結果を踏まえて工事プランを立てる
  • 並行して、利用できそうな補助金や税控除の対象要件を確認し、適宜、プランを修正する
  • リフォームローンを利用する場合は、金融機関に審査を申し込む
⑤工事契約・補助金の事前申請
  • 建築会社と工事請負契約を結ぶ
  • 金融会社とローン契約を結ぶ
  • 必要に応じて、補助金の事前申請を行う
  • 契約金として工事費用の一部を支払う(条件や割合は会社によって異なる)
⑥着工準備
  • 建築会社が具体的な工程表を作成し、資材などを発注する
  • 大規模な改修の場合は、近隣挨拶をする
⑦着工
  • 現場で建築会社・施主立ち会いのもと、着工前打ち合わせを行う
  • 着工金として工事費用の一部を支払う(条件や割合は会社によって異なる)
⑧現場検査・完工
  • 工程に合わせて現地検査を行う
  • 現場で建築会社・施主立ち会いのもと、完了検査を行う
⑨引き渡し

建築会社と引き渡し確認書を交わす

残金を支払う

建築会社が工事保証書を発行する

⑩補助金の交付申請・税控除の申告

事前申請しておいた補助金の交付申請をする

リフォーム促進税制※(所得税)を利用する場合は、翌年の2〜3月に確定申告する

リフォーム促進税制※(固定資産税)を利用する場合は、工事完了後3ヶ月以内に自治体に申請する

※リフォーム促進税制:特定の住宅改修をすると、所得税の特例控除と家屋にかかる固定資産税の減税措置を受けられる制度

(出典:国土交通省|リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について (消費者のみなさまへ)

▶︎リフォーム促進税制については「リフォームローンで住宅ローン控除は受けられる?適用条件・対象工事・注意点を徹底解説」をご覧ください。

木造戸建住宅における耐震補強の具体的な方法と費用目安|免震・制振の組み合わせ

木造戸建住宅における耐震補強の具体的な方法|免震・制振の組み合わせ

▶︎リノベーションの施工事例:京都市左京区|S様邸

木造戸建住宅の耐震補強にはいくつかの方法があり、建物調査(耐震診断)の結果を受けて、これらを複合的に実施する必要があります。

耐力壁の追加・移設

耐力壁とは、地震や台風など水平方向からかかる力に耐えられる耐震上重要な壁を指し、空間を区切るだけの非耐力壁とは区別します。

既存の壁下地を構造用合板に変えたり、筋交を追加したりすることにより、既存の壁や新規で造作する壁の強度を高めることが可能です。

耐震性能を高めるためには、必要な耐力壁を確保するとともに、配置バランスや接合部、基礎などを総合的に検討する必要があります。

耐震等級と必要壁料の関係

(引用:国土交通省|熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について|「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書について

また、耐力壁は、建物全体にバランスよく配置することが重要で、偏りがあると水平方向からかかる力に耐えられずねじれが生じて、倒壊のリスクが高まります。

基礎の補修

地盤沈下などの影響により、ひびに幅の広いクラックが入っている場合は、その部分を補修したり増し打ち※したりするなどの補強工事が必要です。

※増し打ち:既存の基礎に鉄筋コンクリートなどを追加して、基礎の強度を高める補強工事

ただし、表面的で軽微な基礎クラックは、耐震性能に影響がない場合もあります。

屋根の軽量化

古い住宅で重い瓦屋根が乗っている場合は、屋根材を金属屋根などの軽い素材に入れ替えると、建物の重量が軽くなって地震時に建物に作用する地震力を低減できるため、耐震性が高まります。

重い屋根材の家は、建物の重心が高く、揺れの力を増幅させる可能性があるため注意しましょう。

ただし、重い屋根材の荷重に耐えられるほどの十分な耐力壁がある場合は、必ずしも屋根の軽量化は必要ありません。

接合金物の追加

柱と梁・土台が交わる接合部が地震の揺れで外れないようにするために接合金物を設置すると、建物の倒壊リスクを大幅に抑えられます。

実際に、2000年の建築基準法改正では、建築基準法施行令第47条に基づく告示(平成12年建設省告示第1460号)で、構造部の接合部に接合金物を設置するルールが追加されました。

主に接合金物を設置すべき部分は、以下の通りです。

  • 通し柱(1階から2階に続く柱)と横架材(梁・桁・土台など)の接合部
  • 柱・横架材と筋交の接合部

(出典:国土交通省|資料ライブラリー|【建築基準法】軸組構法の確認申請・審査マニュアル(2024年11月第3版)

これらの部分に接合金物を設置するためには、天井・壁・床の一部を解体する必要があります。

腐朽・シロアリ被害を受けた木部の入れ替え

土台や柱が湿気の影響で腐朽したりシロアリ被害を受けている場合、そのままでは計算通りの強度を確保できないため、入れ替えが必要です。

入れ替えた構造体を長持ちさせるために、防腐・防虫処理済の木材を使用することに加えて、床下の湿気対策や壁内の結露対策を併せて行う場合もあります。

制振装置の設置

地震に強い家にするために、耐震補強に加えて制振を取り入れる事例が増えています。

耐震・制振、そして免震には、それぞれ役割が異なるため、違いを理解しておきましょう。

耐震 建物の強度で地震力に抵抗する性能(倒壊を防ぐ)
制振 地震力を吸収して揺れを減衰させる性能(損傷の進行を防ぐ)
免震 地面と建物を切り離して揺れを直接伝えない性能(建物の揺れを最小限に抑える)

 免震装置は設置工事が大がかりで費用も高いため、既存住宅のリノベーションでは「耐震+制振」を組み合わせるプランが選択肢のうちの1つとされています。

ただし、建物の間取りや地盤の状態によっては、耐震補強だけで良い場合もあるため、詳細は建築会社にご相談ください。

耐震補強(耐震リノベーション)の費用目安

耐震補強にかかる費用は、住宅の築年数や劣化の進行具合、間取りなどによって大きく差があります。

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)のアンケート調査では、耐震補強にかかった平均費用は、旧耐震基準の住宅で189万円、新耐震基準の住宅で152万円となりました。

(出典:木耐協|木耐協調査データ| 2021年3⽉発表「コロナ禍の今、高まる耐震化の重要性建築年に応じた耐震提案が求められる」

一方、国土交通省の公表するモデルケースでは、築50年・木造2階建て・延べ床面積約30坪の住宅では、224万円ほどかかるとしています。

(出典:国土交通省|補助金・支援制度について-強い家〜大地震に備える耐震改修

ただし、最近は建設費・資材費ともに値上がりが進んでいるため、具体的な費用を知りたい方は、建築会社に相談すると確実です。

▶︎建物調査(耐震診断)・耐震補強の見積もり依頼はこちらから

耐震補強(耐震リノベーション)の判断基準|建て替えの方が良いケース例

耐震補強(耐震リノベーション)の判断基準|建て替えの方が良いケース例

「耐震補強が必要か」「耐震リノベーションと建て替えのどちらが良いか」迷う場合は、以下のポイントを押さえて計画を検討しましょう。

築年数(建築時期)

建築時期(建築確認を受けた時期)が1981年5月31日以前の「旧耐震基準建物」に加えて、2000年5月31日以前の「新耐震基準建物」も、これまでに大規模なリノベーションをしていない場合は、耐震診断を行い、必要に応じて耐震補強を検討することが重要です。

ただし、2000年5月以前に建築確認を受けた住宅は、建物の詳細な診断や地盤調査から始めなくてはいけない可能性があるため、建て替えも視野に入れることをおすすめします。

対して、2000年6月以降に建てられた住宅は、耐震性能に関する規定が強化された後の基準で建てられており、構造体が著しく劣化していなければ、大規模な耐震補強が必要ないケースは少なくありません。

理想の間取り

フルリノベーションも兼ねて耐震補強をしたい場合、理想とする間取りによっては十分な耐震性能を確保できない可能性があります。

例えば、「外壁に大きな窓をつけたい」「吹き抜けを作りたい」「開放的な大空間のリビングにしたい」「スキップフロアを作りたい」という場合、耐震補強だけでは、希望する耐震性能を確保することが難しくなる場合があります。

耐震性を上げるためには、建物荷重に見合う耐力壁の量とバランスの良い配置が必須であるためです。

そのため、理想の間取りを優先させたい場合は、建て替えも視野に入れましょう。

地盤の種類(地耐力)

建物の耐震性をいくら上げても、地盤が軟弱で地耐力※が低ければ、地震によって沈下する恐れがあります。

※地耐力:地盤が建物の荷重に耐えられる力

2000年の建築基準法改正では、地盤調査そのものが義務化されているわけではありませんが「地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない」と定めており、実務上、新築住宅では地盤調査が行われるケースが一般的です。

(出典:e-GOV法令検索|建築基準法施行令第38条

しかし、既存住宅では地盤調査せずに建てられているケースがあるため、耐震補強の際には地耐力の確認が必要になります。

また、新築時に地盤調査を行った住宅も、地盤改良までされているとは限らない点にはご注意ください。

造成地や河川の近く、昔、水田や池だった場所などは、地盤が軟弱な可能性があるため、地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良などの対策を検討しましょう。

既存住宅がある状態での地盤改良も可能ですが、建て替えの場合と比べて、調査・施工方法や施工できる範囲に制約が生じる場合があるので注意が必要です。

建物調査(耐震診断)の結果

築年数(建築時期)やリノベーション後の間取り、地盤の状態など、耐震補強をするかの判断ポイントはいくつかありますが、最も重要なのが「建物調査(耐震診断)の結果」です。

築年数が古くても構造体の劣化がほぼなく、耐震リノベーションに適している場合と、新しい家でも雨漏りや結露の影響で柱が劣化して強度が落ち、想定以上に改修工事が必要になる場合があります。

また、間取り変更する場合は、改修後のプランでどの程度の耐震性能を発揮できるかのシミュレーションも必要です。

そのため、「耐震補強をするかどうか」「リノベーションと建て替えのどちらにするか」を検討する際には、まず、建築会社などに耐震診断を依頼しましょう。

ポイント

『RENOVATION PRO』は、京都市洛北エリア(左京区・北区を中心としたエリア)で、耐震・省エネ・断熱リノベーションに加えて、新築(建て替え)を手がける建築会社です。

お客様担当のハウスコンシェルジュが、グループ会社の不動産部門による物件探しのサポートから、資金計画、将来的な査定・買取、売買仲介までサポートしますので、「無理なく返済できる予算で理想の住まいを手に入れたい」方は、お気軽にご相談ください。

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耐震リノベーションを後悔しないためのポイント|よくある失敗例と対策

耐震リノベーションを後悔しないためのポイント|よくある失敗例と対策

耐震リノベーションを後悔しないためには、事前に注意点をチェックしておくことが重要です。

「よくある失敗例」とその対策も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

築年数(建築時期)だけで判断できない

耐震補強をするかどうかはの目安として、いつ建築確認を受けたか(旧耐震基準・新耐震基準・2000年基準のどれか)を確認することは重要ですが、最終判断は築年数(建築時期)だけで決められません。

旧耐震・新耐震・2000年基準など、築年数(建築時期)は、あくまでも耐震性能の目安であり、物件ごとに状況は異なるためです。

「うちは2000年基準の住宅だから安心」とは思わず、大地震の発生リスクが高い地域にお住まいの方は、一度、建物調査(耐震診断)を受けてみることをおすすめします。

建物調査(耐震診断)の項目を確認する

建築会社に建物調査(耐震診断)を依頼する際には、どの項目を確認するか事前に確認することが重要です。

原則として、建物調査(耐震診断)は建築士が行いますが、簡易的なものは資格を持たない営業マンが実施する会社があったり、有資格者でも、図面の内容だけで構造体の状態を“推測”して診断したりする場合があります。

これでは、家の劣化状況を踏まえた工事のプランを立てられません。

そのため、建築士などの有資格者が現地を訪れ、床下や小屋裏、基礎、外壁、屋根の状態などを詳細まで調査する建築会社を選びましょう。

断熱リノベーションも併せて検討する

耐震リノベーションを検討する際には、ご自宅の断熱性能も見直しましょう。

耐震補強の多くは、天井・壁・床の一部を解体しなくてはいけないため、それと併せて断熱リノベーションすると、別々で行うよりコストを削減できます。

ブログやSNSでは、耐震補強だけ工事した数年後に断熱リフォームして、壁の解体・復旧工事を二度やることになる失敗例を多く見かけます。

断熱リノベーションによる結露防止は建物の長寿命化につながり、さらに生活の快適性が上がって、光熱費削減も期待できます。

▶︎関連コラム:【断熱リフォームの失敗例ランキング・トップ10】原因・防止策を徹底解説

▶︎RENOVATION PROの「断熱改修リノベ」

関連する補助金・税制優遇制度をチェックする

耐震リノベーションをする際には、必ず補助金や税制優遇制度(税控除・減税)の対象要件を確認しましょう。

耐震リノベーションで利用できる主な制度は、以下のとおりです。

補助金・助成金

  • 各自治体の住宅耐震化補助制度
  • 各自治体の耐震診断補助制度

▶︎自治体ごとの制度は「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で検索可能

税制優遇制度
  • リフォーム促進税制(所得税)
  • リフォーム促進税制(固定資産税)

(出典:国税庁|No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除国土交通省|補助金・支援制度について – 強い家 ~大地震に備える耐震改修

ただし、これらの制度は、それぞれ住宅の建築時期や所有者の所得、工事内容などに制限があり、それらをクリアしないと制度を利用できません。

「対象工事をしたのに、補助金の申請期間から外れていた」という失敗例もあるため、工事前に詳細を必ず確認しましょう。

断熱リノベーションも補助金や税制優遇制度の対象となる可能性が高いため、気になる方は建築会社や自治体、管轄の税務署などにご相談ください。

▶︎関連コラム:【2026年】省エネリフォームの種類・費用と使える補助金や減税制度を解説

リノベーションと建て替え両方の見積もりを取る

2000年5月以前に建築確認を受けた住宅の場合は、建築会社に耐震リノベーションと建て替えの両方を見積もってもらう方法がおすすめです。

構造体の劣化が進んでいる場合や既に雨漏りしている場合、軟弱な地盤に建てられている場合、結露がひどく断熱性が低い場合などは、リノベーションの費用が建て替えの2/3程度(弊社施工事例・見積もり実績をもとに算出)になる事例もあります。

このようなケースでは、リノベーションの費用が建て替え費用に近づくため、長期的な維持費や住宅性能なども含めて比較すると、建て替えのほうが合理的といえます。

気になる方は、リノベーションと建て替え(新築)の両方を手がける建築会社にご相談ください。

▶︎関連コラム:木造住宅の寿命とリフォームの関係性|延ばす・縮める要因と建て替えの判断基準を徹底解説

▶︎関連コラム:新築(建て替え)とリフォームはどちらが得?費用・税金・補助金の違い

【FAQ】耐震補強・耐震リノベーションに関する「よくある質問」

【FAQ】耐震補強・耐震リノベーションに関する「よくある質問」

ここからは、耐震補強・耐震リノベーションに関して、多くのお客様からいただくご質問を紹介します。

Q.木造戸建住宅の耐震補強を含むフルリノベーションにかかる費用はどのくらい?

A.耐震補強や断熱改修を含む木造住宅のフルリノベーションにかかる費用は、「73〜85万円/坪(弊社施工事例・見積もり実績をもとに算出)」が目安ですが、近年値上がり傾向にあります。

上記の目安では、延べ床面積30坪で「2,190〜2,550万円」程度になる計算です。

※間取り変更・設備機器交換・内装仕上げ工事・外装改修含む

ただし、国土交通省の建設工事費デフレーター※によると、建築補修※の指数は2000年から2026年にかけて約1.29倍となっており、上昇傾向にあるのがわかります。

※建設工事費デフレーター:建設工事に係る「名目工事費額」を基準年度の「実質額」に照らし合わせた指標(本工事費、付帯工事費、測量試験費、機械器具費及び営繕費が対象)

※建築補修:建築物(住宅及び非住宅)に関する機能向上や耐用年数の向上を伴う改装・改修

建設費の高騰

(「国土交通省|建設工事費デフレーター|月次」のデータを基に弊社にて作成)

ポイント

『RENOVATION PRO』のリノベーションは、以下の工事をパックで提案しております。

  • 屋根】ハイブリッド瓦葺替・通気垂木・遮熱・断熱施工
  • 外壁】外張り断熱施工(EPSボード30mm)+内断熱施工(現場発泡硬質ウレタンA種3 80mm)、防水改修・塗壁仕上
  • 内装仕上】壁:漆喰塗、天井:クロス貼、床:無垢パインフローリング
  • 【窓】樹脂窓+ペアガラス Low-e・アルゴンガス仕様
  • 【玄関】断熱ドア仕様
  • 【換気・空調】全館空調エアサイクルシステム(換気扇仕様)+エアコン3台(基本)
  • 【住宅設備の取替】システムキッチン、IHクッキングヒーター、バスルーム、トイレ、洗面化粧台、エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)、全室LED照明
  • 【オール電化仕様】

上記仕様によって、リフォーム後の「断熱等級6以上」「UA値(外皮平均熱貫流率)0.46以下=HEAT20のG2レベル」※が可能になりますので、断熱改修を含めたフルリノベーションをご検討中の方は、お気軽に弊社までご相談ください。

※施工エリアである京都市(6地域)の場合

▶︎RENOVATION PROの工事ラインナップ

Q.耐震リノベーションは確認申請が必要?

A.2025年4月に改正建築基準法が施行され、これまで大規模リノベーションで建築確認審査が省略されていた木造の平屋建て※や2階建て住宅も、工事内容によっては確認申請が必要になります。

※延べ面積200㎡以下の住宅(新3号建築物)は、建築確認が不要になる場合が多い

全てのリノベーションで確認申請が求められるわけではありませんが、主要構造部の過半を改修するなど、建築基準法上の「大規模の修繕・模様替え」に該当する場合は、申請実績の多い建築会社に相談すると安心です。

▶︎関連コラム:リフォームで建築確認申請は必要?2025年法改正「4号特例」の変更、不要な場合、費用・期間の目安を解説

Q.耐震補強に特化したローン(融資制度)はある?

A.フラット35を運営する住宅金融支援機構の「リフォーム融資(耐震改修工事)」など、耐震補強に特化したローンはあります。

また、銀行でも、通常のリフォームローンより金利が引き下げられる耐震改修に特化したプランを選べるところもありますので、ローンを組んでリノベーションしたい方は、じっくりプランをご検討ください。

リフォームローンを利用して対象要件を満たすと、住宅ローン控除の対象となる可能性があります。

(出典:国税庁|マイホームを増改築等したとき

▶︎ローン控除については「リフォームローンで住宅ローン控除は受けられる?適用条件・対象工事・注意点を徹底解説」をご覧ください。

Q.2階建てを平屋にすると耐震性が高くなるって本当?

A.お子様の独立などで2階を使わなくなった場合は、2階部分を撤去して平屋化することで、建物の構造や基礎などの条件によっては、建物荷重が減って重心が下がり、地震による建物への被害を軽減できます。

また、生活動線の改善や住宅維持費の軽減にもつながるため、近年、事例が増えています。

施工事例は、下記ページをご覧ください。

▶︎RENOVATION PROの「減築平屋化リノベ」

▶︎RENOVATION PROへのお問い合わせ(オンライン相談)


まとめ

耐震補強は“意味がない”と言われる理由には、一般の方の誤解や建築会社の説明不足や技術的な制約が関係しており、2000年5月以前に建築確認を受けた住宅は、現在の耐震基準と異なる基準で建てられているため、耐震診断によって現在の耐震性能を確認することが重要です。

ただし、「耐震補強をするかどうか」「建て替えの方が良いか」の判断は、築年数や構造体の劣化状況、地盤の種類、間取りによって異なるため、地震の不安がある方は、まず建築会社に建物調査(耐震診断)を依頼しましょう。

「リノベーションでどこまで変えられるか知りたい」「リノベーションするか建て替えるか迷っている」という方は、地元に詳しく物件探しからリノベーション、新築(建て替え)、資金計画まで手がける建築会社にご相談ください。

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三都の森(RENOVATION PRO)は、京都市全域と宇治市、大山崎町、亀岡市、木津川市、京田辺市、久御山町、城陽市、精華町、長岡京市、向日市、八幡市、および、大阪府・滋賀県の一部」を施工エリアとして、戸建ての新築・改修を手がける会社です。

三都の森のリフォームは、見えるところだけではなく、見えないところにまで手を入れて、住まいの性能を最大限引き出すスケルトンリフォーム(リノベーション)です。

「低燃費・快適住宅・ローメンテ」というコンセプトに基づき、高い技術力を持って、お客様の住まいに合わせた最適なリノベーションを提案しておりますので、お気軽にご相談ください。

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